リーダーズ・リレートーク【江南市・犬山市・岩倉市・大口町・扶桑町】
(更新)

大手住宅メーカーの社長を経て、50代で独立。江南市を拠点にリフォームと地域密着の生活支援サービスを展開する「株式会社マナベース」。代表の菱川学氏は、単なる「施工業者」ではありません。建築のプロとしての厳しい目、コロナ禍を乗り越えた不屈の精神、そして共に働くスタッフを「最高の宝」と笑顔で語る温かい心。その情熱の源泉に迫りました。
ーー菱川社長にとって、江南という街はどのような存在ですか?
ここで生まれて58年。私にとって江南は、単なる仕事場ではなく、私のすべてを形作ってくれた場所です。 「今の自分があるのはなぜか?」と自問自答すると、そこには常に、私を育ててくれた親がいて、共に切磋琢磨してきた同級生がいました。今でもその仲間たちとは深く関わり続けています。
都会に目を向けていた頃には見えていなかったものが、地元に腰を据えて向き合うと、驚くほどたくさんの課題が見えてきました。「この愛する街のために、この仲間たちのために、自分に何ができるか?」と考えた時、行き着いたのは、自分がこれまで培ってきた「建築業界での力」を活かして、地域に恩返しをすることでした。
ーーその想いが、経営理念に直結しているのですね。
そうです。マナベースの経営理念は、「江南の住生活を支援しよう」。実にシンプルですが、これに尽きます。 住宅は、人が生きる基盤です。そこが安全で快適でなければ、地域の元気は生まれません。5年前、コロナ禍という逆風の中で独立を決意したのも、大手メーカーの看板ではなく、一人の「江南の人間」として、この街の住まいと暮らしを支え抜きたいという覚悟があったからです。
ーー「マナベース」という社名、非常に印象的ですが由来を教えてください。
私の名前「学(まなぶ)」がベースにあるのはもちろんですが、本質は「何歳になっても学び続ける基地(Base)」でありたいという思いです。実は私、若い頃は勉強が大嫌いだったんですよ(笑)。でも、この歳になって経営や建築の奥深さに触れ、学ぶことの面白さを知りました。
うちでは朝礼や月一回の勉強会を欠かしません。スタッフ全員で「お客様にとって本当に良いことは何か」をディスカッションします。知識は「安心」に直結しますから。常に新しい技術や補助金の情報を学び、お客様に還元する。そんな「成長し続けるプロ集団」でありたい。それが私の原点です。
ーー独立されたのは5年前とのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
以前は、大手住宅メーカーのフランチャイズ会社で10年間「雇われ社長」を務めていました。年収1000万円を超え、順風満帆に見えましたが、そこに襲いかかったのがコロナ禍でした。出口の見えないトンネルの中で、親会社の判断で撤退が決まりました。
54歳。息子たちも独立し、身軽になったタイミングでした。「もう一度、今度は自分の足で立ちたい」と考え、自己資金でこのマナベースを立ち上げたんです。雇われ時代との一番の違いは、「すべての決断に自分が責任を負う」ということ。逃げ場のない怖さはありますが、自分で決めた結果がダイレクトに返ってくる面白さは、何物にも代えがたいですね。この5年間、毎日が真剣勝負の連続です。
ーー具体的に、どのような事業を展開されているのでしょうか。
私たちは「暮らしのパートナー」として、家のことなら何でも相談できる体制を整えています。
リフォーム・リノベーション・増改築 内装の貼り替えから間取り変更、大規模なリノベーションまで、住む人の「これから」に合わせた提案を行います。
修繕・メンテナンス・定期点検 「おうちの無料健康診断」も実施しており、雨漏り修理やシロアリ駆除、外壁の防水処理など、家の寿命を延ばすためのメンテナンスに力を入れています。
外構・エクステリア工事 庭の手入れやフェンスの設置など、家の外回りの美観と機能性を向上させます。
生活支援(便利屋)事業 不用品の片付け、草刈り、電球交換といった日常の小さなお困りごと。売上の1割にも満たない事業ですが、地域の方々との信頼を築く大切な「種まき」として継続しています。

板取グランピング施設建設
介護リフォーム
ーーAmazonランキングで13冠を達成された著書についても伺わせてください。
マーケティングを徹底的に学び、出版にも「本気」で挑みました。タイトルに掲げた「55歳」という数字には、明確な意味があります。 この世代は、住宅ローンが終わり、子供が独立し、ようやく自分たちのために予算を使えるようになる時期。同時に、親の介護や自分たちの健康寿命を意識し始める「人生の分岐点」なんです。
「あと30年、この家で健康に楽しく暮らすにはどうすべきか?」 プロの知識をひけらかすのではなく、同世代の悩みを持つ方々に届く言葉を徹底して考え抜きました。結果、13ものカテゴリーで1位を獲得。この実績は、何よりの「信頼の証」になると確信しています。

ーーリフォームにおいて、菱川社長が最も大切にしていることは何ですか?
プロとしての「正確な目」で優先順位を判断することです。お客様の「やりたいこと(希望)」と、家の寿命を延ばすために「やるべきこと(必要性)」は必ずしも一致しません。
例えば、見た目を良くするクロス張替えに予算を投じるより、冬場のヒートショックを防ぐ断熱窓や、外壁の防水処理を優先したほうが、結果的に長く健康に暮らせる。「自分の家ならどうするか」を基準に、忖度なしで最優先事項を提案し、そこにお客様の希望をどう掛け合わせて予算内で着地させるか。これがプロの誠実さです。
【エピソード:100万円の工事をお断りした理由】 他社で「今すぐ塗らないとダメだ」と言われた外壁塗装の相談を受けた際、私が触ってみるとまだ数年は持つ状態でした。「あと3年は大丈夫です。今回は10万円の高圧洗浄だけで済ませて、浮いたお金は将来のために取っておきましょう」と提案しました。目先の利益より、お客様の人生の収支を考えるのが「マナベース流」です。
ーー生活支援(便利屋)事業もされていますが、その狙いはどこにあるのでしょうか?
実は、便利屋としての売上は全体の1割にも満たないんです。ビジネスの効率だけを考えれば、リフォーム一本に絞った方がいい。でも、あえて続けているのには理由があります。 それは、「ちょっとした困りごと」に応えることが、地域の方々と心の通った関係を築く「最高の入り口」になるからです。
電球一個の交換や草刈りといった小さなお願いに本気で応えることで、「マナベースさんは親切だね」という口コミが広がり、信頼が地域に蓄積されます。その信頼の積み重ねこそが、いつか大きなリフォームが必要になった時、真っ先に声をかけていただける強固な絆になる。地域に深く根を張るためには、この手間暇を惜しまない姿勢こそが重要だと考えています。

菱川社長自ら芝刈り

樹木伐採も
ーースタッフの皆さんの話をされる時の社長の笑顔が、本当に印象的でした。
本当にスタッフには恵まれているんですよ。「スタッフが心から楽しんで働いていなければ、お客様を幸せにすることはできない」というのが私の持論。うちは創業以来、一人も辞めていないのが自慢です。
私が指示を出さなくても、みんなが「どうすればお客様に喜んでもらえるか」を自発的に考えて動いてくれる。例えばSNSやブログの更新も、私が週に一度ネタを話すだけで、スタッフがそれを丁寧に形にして発信し続けてくれています。その努力が実を結び、問い合わせが増えた時の彼女たちの喜ぶ姿を見るのが、私にとっても一番の幸せです。
誕生日会や、お正月の「鰻の会」など、みんなで笑い合える時間を大切にしているのは、彼女たちの頑張りに報いたいから。「スタッフが笑顔で働ける環境があるからこそ、お客様の家にも『笑顔』を届けることができる」。私はそう信じています。
ーー菱川社長といえば、大の野球好きとしても知られていますね。
高校時代から白球を追いかけ、江南の草野球界ではずっとトップを走り続けてきました。大人になってからも野球経験者を集めたチームを結成し、地域でも一番を走り続けてきました。今は、同じく高校野球児だった長男にチームを譲り、20代中心の若い世代に代替わりしましたが、たまに試合に呼ばれるんですよ。
最近も、一塁を守っていた時に若い奴が投げた130キロ級の爆速球を、パシッと捕球しましてね。「あの社長、普通に捕ったぞ!」って周囲がざわついたのが嬉しくて(笑)。そんな長年の情熱と貢献が認められ、愛知県の連盟から「優秀賞」をいただいたんです。いくつになっても、本気で打ち込めるものがあるのは幸せなことですね。
ーー最後に、これから挑戦しようとしている方へメッセージをお願いします。
「本気であること」と「諦めないこと」。この2つに尽きます。本気で動いている人間には、必ず誰かが手を差し伸べてくれます。ピンチの時こそ、お手上げだと言わない限り終わりではありません。本気で学び、本気で挑む。その熱量があれば、道は開けます。私もまだまだ現役。江南の皆さんと共に、これからも本気で走り続けます!

130キロの送球を捌く反射神経、住宅の欠陥を見抜く観察眼、そして「最高のスタッフです」と語る誇らしげな笑顔。すべては「本気で向き合う」という一点で繋がっていました。プロとしての厳しい視点と、人を愛する温かい心。その両方を持つ菱川社長こそ、江南の住まいを最後の一球まで守り抜く、地域最強のクローザーなのかもしれません。


取材:まいぷれ江南 編集長 尾花英隆
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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