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リーダーズ・リレートーク【江南市・犬山市・岩倉市・大口町・扶桑町】

【リーダーズ・リレートーク Vol.7】 「人を動かすチケット」を手に——職人技と地域愛で江南市を照らす「原鈑金」の生き様|有限会社 原鈑金 代表取締役 原園 猛 氏

更新)


江南市の街を支える経営者やキーパーソンにスポットを当てる連載企画。第7弾となる今回は、昭和40年代の創業から50年以上にわたり、圧倒的な技術力と地域への深い愛を胸に住まいの屋根や外壁を守り続ける「有限会社 原鈑金」の代表取締役・原園 猛氏をご紹介します。

■18歳で飛び込んだ職人の世界——ハンデのある父の背中に学んだ「モノづくりの真髄」

 

原園氏が鈑金の世界に足を踏み入れたのは、18歳のときでした。職人としてのキャリアをスタートさせた彼の技術と、仕事に対する覚悟の原点には、同じく鈑金職人として現場に立ち続けた父親の存在がありました。原園氏の父親は過去の事故によって、職人としては致命的とも言える非常に大きなハンデを抱えていたのです。しかし、父親は決して言い訳をせず、道具を巧みに操りながら、高所の危険な屋根の上でも寸分の狂いもない完璧な仕事をこなしていました。その姿は、周囲の五体満足な職人たちを圧倒し、深く感銘を与えるほどだったといいます。

 

「ハンデのある親父があれだけの精度で凄まじい仕事をするんだから、自分にできないはずがない」

 

父が魅せた圧倒的な職人技とその背中を間近で見つめて育った原園氏は、24歳という若さで会社を継承することを決意します。独立当初は幾多の試練や経営上の困難に直面することとなりましたが、どんなときも父から受け継いだ職人魂と誇りを胸に抱き、目の前の現場一つひとつに対して愚直なまでに向き合い続けてきました。

写真右から先代の父・現代表の原園氏・左三人は大切な従業員

■「本物」への挑戦——銅とい工事と1級資格の一発合格

 

原園氏の職人人生において、大きな転機であり最大の試練となったのが、大口町のS様宅における「銅の樋(とい)」の工事依頼でした。当初、一般的な既製品の樋を取り付けたところ、「職人の技術が感じられない、手作りの味がない」と一蹴されてしまい、手作業で一からオリジナルの銅といを作り上げるという非常に難易度の高い課題を突きつけられたのです。

 

しかし当時、銅のといをゼロから展開図を起こして手作業で折り曲げ、形づくることができる職人は愛知県内でもわずか1、2件ほどしか存在しない絶滅危惧の技術でした。それでも原園氏は決して諦めることなく、1級建築板金技能士の資格を持つ第一人者の先生のもとへ教えを仰ぎに行き、基礎からの猛勉強と技術の再習得を決意しました。

 

日中の激しい現場仕事を終えた後、夜な夜な自宅の作業場にこもり、試験用の立体作品を作り続ける過酷な日々が始まりました。1ミリのズレや曲がりも絶対に許されない極限の精密さが求められる試練を乗り越え、原園氏は実務経験による飛び級で難関とされる技能試験に挑戦。受験者の多くが何年間も不合格を重ねて複数回目の挑戦を行う中、見事初回受験での一発合格という快挙で突破してみせたのです。

 

こうして名実ともに「本物の技術」を証明した原園氏。寸分の狂いもなく手作業で曲げや接合を行った美しい銅といを現場で手際よく作り上げ、依頼主の期待に完璧に応えて見せました。

夜な夜な試験用の立体作品を何百個も作り続ける過酷な日々

手作業で一からオリジナルの銅といを製作

銅といの取付

取り付け後の銅とい


銅製のコンセントカバーも製作

■毎朝の打ち合わせとグループLINE共有で高め合う「チーム原鈑金」


原園氏が率いる「原鈑金」の朝は、まだ街が静まり返る午前6時半の出発から始まります。現場に向かう道中の激しい渋滞を回避するため、早めに現場近くの喫茶店に入り、スタッフ全員でモーニングを食べながらその日の作業手順や安全対策を念入りに打ち合わせます。「どうせやるなら、この業界で一番のチームを目指そう」という強い意志のもと、毎朝の丁寧なコミュニケーションを何よりも大切にしているのです。

さらに原鈑金では、時代に合わせた独自の取り組みとして、グループLINEを活用した技術と知識の共有システムを導入しています。従業員が毎日交代で他社の優秀な施工動画や、最新の工具情報、革新的な工法などを投稿し、チーム全員でチェック。そこに原園氏自らがプロの視点から深い解説コメントを加えることで、現場に出て作業をしている時間以外でも、日々膨大な技術ノウハウがリアルタイムで蓄積されていく仕組みを作り上げました。

「知識や情報は、今やネットや動画を使えばいくらでも手に入る時代。本当に大事なのは、現状に満足せず常に探究心と疑問を持ち続けることだ」と語る原園氏の熱い指導のもと、若いスタッフたちも着実に意識を高め、プロフェッショナルとしての深い知識と技術を身につけています。

■見えやすい対価を求めない「地域への還元」と引き寄せた奇跡


自らの技術を極限まで磨き続ける一方で、原園氏の情熱は自社の事業だけに留まりません。生まれ育ったこの江南市という地域社会へ恩返しをしたいという想いは極めて強く、長年にわたって多岐にわたる地域貢献活動へ多大な時間と情熱を注ぎ続けてきました。見えやすい対価や見返りを求めず、ただ純粋に街や住む人々のために身体を動かし続けるその姿勢は、多くの市民や行政からの深い信頼を集めています。

・母校への寄付とそこから生まれた奇跡的なご縁

 

ある日、母校である江南市立西部中学校を訪れた原園氏は、長年放置されて錆びつき、痛々しく汚れていた自転車置き場の外壁を目にしました。「子どもたちが毎日使う場所をこのままにしてはおけない」と感じた原園氏は、すぐさま完全ボランティアでの修繕を決意。

材料費や人件費などの工面もすべて自社で負担し、自らの職人技を注ぎ込んでピカピカの美しい外壁へと張り替えを行いました。この無私無欲の行動が大きな感動を呼び、のちに市長表彰を受けることとなります。さらに感動的なのはその後の出来事です。表彰された様子を報じる記事を目にした地元の方から、「これほど誠実で信頼できる職人さんにぜひ家の改修をお願いしたい」と申し出があり、結果として非常に大きなリフォーム工事の受注へと繋がったのです。見えやすい利益を追わず、地域のために尽くした誠意が、巡り巡って最高の恩返しとなって自分自身に返ってきた象徴的なエピソードです。

・子どもたちの未来を育む部活動サポート

 

地域の子どもたちの健全な育成にも原園氏は強い情熱を注いでいます。地域のバスケットボールチームの外部コーチを長年にわたって務め上げ、多忙な業務の合間を縫って子どもたちの指導にあたってきました。単に技術を教えるだけでなく、自らの手で手作りの専用練習コートや独自の練習用器具を設置するなど、子どもたちが全力でスポーツに打ち込める最高の環境を整備。

さらに、外部コーチとして正式に支給された指導料や謝礼金についても、原園氏は一切自分の懐に入れることなく、そのまま全額を学校やチームへ寄付し続けています。これまでに計4回もの感謝状や表彰を受けるなど、その教育的貢献は地域でも高く評価されています。

江南市 澤田市長から感謝状を授与


・街の歴史と記憶を守る社寺の修繕活動


歴史ある江南市の街並みや、人々の心の拠り所となっている社寺の維持管理にも原園氏の技術が生かされています。地域の子どもたちが放課後に集まる憩いの場であり、地域のシンボルでもある「上奈良神社」の屋根に傷みが見られた際には、いち早く修繕作業を担当。また、歴史ある「八社様」への手作り寄付物を制作・納品するなど、職人の技術を存分に生かして街の伝統や人々の記憶に刻まれる大切な仕事を数多く手掛けています。


原鈑金の真骨頂となる作品

・江南市民花火大会を陰で支える徹底的な裏方作業

 

江南市の一大イベントである「江南市民花火大会」において、原園氏は実行委員会の中心メンバーとして欠かせない存在となっています。華やかな花火が夜空を彩る裏側で、来場者が安全にイベントを楽しめるよう、会場内の安全対策となる足場組みを施工。それだけに留まらず、会場周辺に設置される200枚以上にも及ぶ案内看板の補修や補強作業を、自ら進んで買って出ました。多くの人々が避けたがるような地味で過酷な設営・撤去作業の現場に真っ先に立ち、汗を流すことで、市民が安心して笑顔になれる大イベントの基盤を陰から力強く支え続けているのです。

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江南市の一大イベントである「江南市民花火大会」は原園氏などボランティア達の献身的な活躍によって成り立っている。

一見すると自社の利益にはならず、時間も労力も奪われるようなボランティア作業や、誰もが敬遠するリーダーシップの重圧を引き受け続ける理由について、原園氏は力強い眼差しでこう語ります。

「リーダーシップを発揮したり、地域の裏方を引き受けたりすることは、実際は面倒で大変なことばかりです。でも、誰もが嫌がるようなことに自ら負荷をかけ、一生懸命に泥を払って頑張る姿を背中で見せることでしか、人の心は動かせない。その愚直で嘘のない姿勢こそが本物の信頼を生み、いつか『人の心を動かせる特別なチケット』になるんです」

■屋根・外壁・といまで全てを網羅する「最強の職人」

 

一般的な建築業界においては、瓦屋根の専門業者、外壁サイディングの専門業者、雨樋の専門業者といったように、それぞれの工程で専門が細かく分業化されているのが現状です。しかし、その中で原園氏は鈑金業に強い誇りと自信を持っています。

新築工事から板金屋根、板金外壁、雨樋工事、屋根の葺き替えやカバー工法、工場の壁面改修や板金加工に至るまで、現場の状況や建物の形状に合わせて自在に切り出し、曲げ、加工することで、住まいの外回りすべてを自分たちの手だけで完璧に作り上げることができるからです。

小型移動式クレーンや玉掛け、足場組立、フルハーネス、アーク溶接といった数々の安全・専門資格を完備し、現場の安全対策と高い施工品質を徹底。

・取材を終えて

 

幾度もの怪我や苦難、時代の変化を乗り越えながら、今では自らの背中で従業員や地域の子どもたちに「本物の職人の生き様」を示し続ける原園氏。職人としての圧倒的な高い技術力と、生まれ育った地域への深い愛を両手に携え、今日も江南市の街とそこに住む人々の大切な暮らしを、足元から力強く、そして頑丈に支え続けています。

 

取材:まいぷれ江南 編集長/尾花英隆

先代のお父様の時代に製作した灯篭

社員の技術向上のため、社員に全て任せて、20年の時を経てリメーク作業

仕上がりも渾身の作品となった

企業情報

 

会社名:有限会社 原鈑金(はらばんきん)
創業:昭和40年代(業歴50年以上)
■所在地:〒483-8255 江南市上奈良町郷303番地2

■電話番号:0587-55-6117
■代表者:代表取締役 原園 猛
■建設業許可:愛知県知事 許可 第050420号
■保有資格:1級建築板金技能士 / 小型移動式クレーン / 玉掛け / 足場組立 / フルハーネス / アーク溶接
■業務内容:新築 / 板金屋根 / 板金外壁 / 雨樋工事 / 屋根工事(葺き替え・カバー工法) / 工場の壁面改修 / 板金加工
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