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リーダーズ・リレートーク【江南市・犬山市・岩倉市・大口町・扶桑町】

【リーダーズ・リレートーク Vol.5】 創業74年、信頼のワンストップ。進化する「街の車屋さん」の生き残り戦略。株式会社林自動車整備工場 代表取締役 林 元彦氏

更新)

アピタ江南西店からほど近い場所に、広大な敷地と充実したピットを構える「林自動車整備工場」。一歩足を踏み入れると、メカニックたちの活気ある声と工具の音が響き渡ります。「実はうちのルーツを探ると、国産車がまだ日本にない時代のシボレーまで遡るんだよ」と、貴重な歴史の写真を見せながら気さくに話してくれた3代目の林元彦社長。伝統を守りながらも、独自の戦略で地域一番店へと成長させてきた軌跡と、激変する自動車業界を見据えたリアルな経営哲学に迫りました。

 

 

■ルーツは戦前のシボレー代理店。高辻から江南へ繋いだ「つなぎ」のバトン

 

ーー昭和27年(1952年)創業とお聞きしましたが、それ以前にも壮大なドラマがあるそうですね。

ええ、実は私の祖父が三重県伊勢市の整備工場で丁稚奉公(でっちぼうこう)をして技術を覚えたのが始まりです。その後、名古屋の高辻にある「日の出モータース(現在の愛知トヨタ)」に入社しました。当時はまだ日本の国産車がほとんどない時代で、シボレーなどの輸入車を扱っていた代理店だったそうです。

そこで祖父は工場長を務めていたのですが、戦争が激しくなったことで江南にあった出張所へ所長として赴任することになりました。戦後、車が走っていない過酷な時代を乗り越え、少しずつトラックが出回り始めた昭和27年に、ここ江南の地で個人事業として独立したのが当社の原点です。

手元に1952年当時の写真が3枚ほど残っているのですが、そこに映る祖父が着ているのは「トヨタ」の文字が入ったつなぎなんですよ。信号の角の小さな場所からスタートし、周りの田んぼを少しずつ買い増ししながら、今の敷地まで広げてきました。その後、昭和44年に父の代で法人化し、私が39歳の時(2003年)に3代目として社長を引き継ぎました。

林氏の祖父であり初代社長(胸元にトヨタの文字)

左が二代目、前列のお子さんが三代目、左から三番目が初代社長と祖母

■「年間1,800台」を誇る、江南トップクラスの車検実績と広告戦略の裏舞台

 

ーー御社といえば、「チャレンジ車検」の看板と圧倒的な車検台数が有名です。

私が引き継ぐ少し前、平成9年(1997年)に「チャレンジ車検」のグループに加盟しました。それまでは年間600台ほどだった車検台数が、一時期は最大で年間1,800台にまで急成長したんです。

当時は、他社のような縛りの強いフランチャイズとは異なり、独立性を保ちながら共同で大量のチラシを安く刷れる「ボランタリーチェーン」の仕組みが時代にカチッとハマりました。最初は宣伝広告費をかけすぎて、台数は倍近く増えたのに決算を開けたら大赤字という素人ならではの失敗もありましたが(笑)、あの時に必死になって集めた何千人というお客様の基盤があったからこそ、20年経った今でも江南市内でトップクラスのシェア(推定7~8%)を維持できています。

最近の2~3年は新聞の購読率低下もあってチラシを一切巻いていませんが、やはり少しずつ台数が下がり傾向にあるのを感じています。「今の時代、紙だけでは完結しない」と痛感していますし、ウェブや検索を通じた地域の方との新しい繋がり方を模索しているところです。

■「人手不足」は経営の最大命題。だからこそ、休めて先が見える環境を作る

 

ーー自動車業界全体で深刻な「整備士不足」について、林社長はどのように向き合っていますか?

今の時代、仕事を取ってくることよりも「人を集め、残ってもらうこと」の方が遥かに厳しい。これは小手先の対策では通用しない、経営の最大命題です。よっぽどイーロン・マスクが映画のような人型ロボットでも開発して車の修理をしてくれない限り、この先状況が良くなるとは思えません(笑)。

今、うちには5人のメカニックと2人の板金職人がいますが、ベトナムからの優秀な国際人スタッフも含め、彼らに「ここで長く働きたい」と思ってもらえる環境づくりを最優先にしています。一度大手に転職したけれど「やっぱり林自動車がいい」と戻ってきてくれたスタッフもいるんですよ。

具体的には、完全予約制を徹底することで、突発的な残業を減らしました。現在の残業時間は月に5時間未満です。「今日夕方会社が終わってから、7時にどこかへ行く」という予定がしっかり立てられる環境は、働く側にとって非常に大きい。 また、休みもしっかり取れる体制へシフトしています。現在は、定休日を水曜日と第1火曜日とし、第2・第4日曜日も受 付のみ(緊急対応のみ)にして、スタッフをしっかりと休ませています。あと一歩で完全週休2日制に届くところまで来ています。日曜日を完全に閉めないのは、せっかく来てくれたお客様を空振りで帰したくないから。私とスタッフ2人の最小人数でローテーションを組み、現場を回しています。

■次世代、そしてこれから起業する人へ:グレーな時代を生き抜く「仲間」を作れ

 

ーー現在、後継者へ向けての動きや、これからの起業家へのアドバイスはありますか?

私には3人の息子がいますが、上の2人は別の道へ進み、幸いなことに高校3年生の一番下の息子が「やってみようかな」と自動車の道に興味を持ってくれています。勉強は嫌いだけど行動派で面白いやつなので、もし継いでくれたら4代目として新しい風を吹かせてくれるんじゃないかと密かに期待しています。

これから起業する若い人たちに伝えたいのは、これからの時代、何をするにも「人の問題」が一番の壁になるということです。今や自動車整備学校の生徒の半数以上、下手をすれば7割近くが外国人という時代。大手ディーラーですら日本人だけで現場を回せなくなっているのがリアルな現実です。

だからこそ、若いうちに「いざという時に助け合える、信頼できる仲間(ネットワーク)」をたくさん作っておくこと。「困った時はお互い様」と言える横の繋がりを持っている人が、これからの不透明な時代を生き抜いていけるのではないでしょうか。

【取材を終えて】

 

「長く通ってくれたお客様が、年齢を理由に免許を返納される時は本当に寂しい。20数年前、60歳だった方が今は80歳ですからね」と漏らした林社長。その言葉には、単にビジネスとして車を直すだけでなく、一人ひとりの人生や江南の街の移り変わりに寄り添ってきた温かいお人柄が溢れていました。 シボレーから始まった情熱のバトンは、時代に合わせたクリーンでホワイトな労働環境へと昇華され、次の世代へとしっかりと受け継がれようとしています。

株式会社林自動車整備工場 店舗情報
住所: 江南市古知野町宮裏67
事業内容:車検・点検・修理・板金塗装・販売・買取・レッカー事業・損害保険代理

代表取締役: 林 元彦
電話:0587-54-3158
HP: https://konan-syaken-hayashijidousya.com/

取材:まいぷれ江南 編集長 尾花英隆

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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