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リーダーズ・リレートーク【江南市・犬山市・岩倉市・大口町・扶桑町】

【リーダーズ・リレートーク Vol.9】 「全員が笑顔で働ける環境を」——どん底の危機を乗り越え、人の心と街を繋ぐ「最強の現場主義」|株式会社ジェーケー・サービス 代表取締役 福田 直樹 氏

(更新)


江南市の街を支える経営者やキーパーソンにスポットを当てる連載企画「リーダーズリレートーク」。第9弾となる今回は、倒産の危機に直面していた会社を20代で引き継ぎ、圧倒的な現場力と従業員への深い愛、そして確かな技術力で年商6億~7億円規模へと見事復活させた「株式会社ジェーケー・サービス」の代表取締役・福田 直樹(ふくだ なおき)氏をご紹介します。

■江南生まれ、江南育ち——アルバイト先で直面した「会社の危機」と20代での決断

 

福田氏は昭和46年(1971年)に江南市五明町で生まれ、地元の小学校から滝中・滝高校、愛知大学法学部へと進学し、生まれ育った江南の地で成長しました。法学部で法律や倫理を学んでいた大学時代、学業の傍らアルバイトをしていたのが、のちに自らが経営を担うこととなる給排水・衛生設備工事会社「株式会社ジェーケー・サービス」(当時は先代の保浦氏が経営)でした。

当時はバブル崩壊後の就職氷河期にあたり、非常に厳しい時代。大学を卒業して数年が経過した頃、福田氏に激震が走ります。アルバイト時代から親身にしてくれた先代社長がガンに倒れて余命宣告を受け、さらに会社が多額の負債を抱えて廃業寸前の極限状態に陥っていることを知らされたのです。

当時20代半ば。「会社をたたんで逃げるか、それとも膨大なリスクを引き受けて会社を存続させるか」という重大な選択を迫られた福田氏の頭に浮かんだのは、共に汗を流してきた仲間や先輩社員たちの顔でした。

「お世話になった社員や仲間、その家族を路頭に迷わせるわけにはいかない。逃げるのはいつでもできるが、今逃げたら自分の人生で一生後悔する」

覚悟を決めた福田氏は、自ら十六銀行の担当者のもとへ足を運び、自作の綿密な資金繰り表や事業計画書、稟議書を提出。「この会社は年配の職人さんも多く現場の技術は確かだ。業務改善と管理の徹底を行えば、絶対に息を吹き返す」と熱意を訴え、2000万円の新規融資を取り付けました。

しかし、経営を引き継ぐために背負わされた条件は凄まじいものでした。当時の代表者包括保証の制度により、20代の若さでなんと実に1億7800万円もの連帯保証人となることを余儀なくされたのです。

周囲が絶望するような超巨大な重圧の中、福田氏は毎月100万円づつ着実に返済を進める綿密な返済計画を策定・実行。血の滲むような努力の末に見事に負債を完済してみせました。引き継いだ当時に約2億円だった年商は、現在では6億~7億円規模へと飛躍的に拡大。単に売上を伸ばすだけでなく、しっかりと利益を出せる盤石で健全な財務体質へと生まれ変わらせたのです。

■「職人の世界」を改革——自ら泥にまみれ、目線を下げて掴んだ信頼

 

福田氏が入社した当時の建設・設備業界は、典型的な「見て覚えろ、技は盗め」という厳しく不透明な超ブラックな世界でした。理不尽な教育や非効率な作業が横行する現場を見て、法学部出身の福田氏は「もっと合理的なやり方や、現場の人間が気持ちよく働ける改善点があるはずだ」と強く感じていました。

 

しかし、ただ口頭で指示を出しても、自分よりはるかに年上の頑固な職人たちは動いてくれません。そこで福田氏は「職人さんがやっている作業のすべてを、まずは自分も80点レベルでこなせるようになろう」と心に決めたのです。

 

そう決意した福田氏は、日曜日になると一人で会社のヤード(作業場)に向かい、バックホウ(油圧ショベル)などの重機操作や、各種配管に必要な施工実務を秘密裏に繰り返し重ねました。最初は「法学部出の青二才に何ができる」と遠巻きに見ていたベテラン職人たちも、休日返所で泥まみれ・油まみれになりながら自主練習に励む福田氏の熱意に打たれ、「おい福田、こういう時はこうやってレバーを操作するんだぞ」「現場でちょっと掘ってみるか?」など、少しずつ技術を伝授してくれるようになりました。職人たちと同じ目線まで自らを下げ、学びを乞うことで、現場を巻き込んだ本物の信頼関係が構築されていったのです。

 

また、「手でモノを作り上げる仕事には、作業者の心が100%表に出る。心が乱れていたり悩みを抱えていれば、それが雑な工事や失敗、事故につながる」という独自の現場哲学から、社内の労働環境改革にも着手。当時の建設業界では当たり前だった「雨が降ったら休み」というあやふやな雇用慣行を廃止し、社員と膝を突き合わせて話し合いながら年間休日カレンダーを制定。各種社会保険の完備や資格取得手当など、時代に先駆けた福利厚生制度を次々と導入し、社員が将来に希望を持って楽しく働ける会社へと脱皮させました。

■ホームページに込めた強い意志——「ロジカルでないお取引はお断り」の真意とは

 

同社のホームページを開くと、目を引くのが「ロジカルな思考に基づかないお客様(お取引先)とは、お仕事をお断りさせていただく場合がございます」という毅然としたメッセージです。一見すると強気な姿勢に感じられるこの言葉の裏には、福田氏の「社員と現場を何としても守り抜く」という深い信念と、苦い業界構造への抗いがありました。

 

かつての建設・設備業界では、「理屈抜きで言われた通りやれ」「設備屋なんて後回しで適当にしておけ」といった無理難題や、工程・費用において合理的でない不当な要求が横行していました。建物を建てる上では、通気や給排水、空調といった設備は生命線であり、そこには緻密な設計理論と施工の原理原則(ロジック)が存在します。

 

「ロジックを無視した無茶な要求を受け入れることは、適切な対価を得られないばかりか、最前線で汗を流す社員たちの心や尊厳を傷つけることになります。議論の根拠(原理原則)や工程の理論を理解せず、膝を突き合わせた誠実な対話ができない相手とは、どれだけ大きな金額の案件であっても仕事はしない。社員を守れない不条理な業界の古い慣習は、僕の代で断ち切る」

 

かつて数億円規模の大型案件であっても、社員の安全やプライドを守るために毅然と断りを入れた経験を持つ福田氏。この言葉は、適正な施工と対価を担保し、社員が誇りを持って健全に働ける環境を死守するための「防波堤」であり、プロフェッショナルとしての覚悟の証なのです。

■東日本大震災での気づきと「花火大会」を支える事務屋のプロフェッショナル

 

福田氏の人生観と経営理念を決定づけるもう一つの大きな出来事が、2011年に発生した東日本大震災でした。当時、江南青年会議所(JC)の理事長を務めていた福田氏は、支援物資の収集や被災地への輸送活動の陣頭指揮を執りました。

 

単に物資を集めて送るのではなく、何が必要とされているかをシステマチックに仕分けして現地へ届ける徹底した支援活動を通じて、福田氏は深い学びに至ります。「困っている人を自分のできる範囲で助けたい。しかし、人を助けるためには、まず自分自身が人間的な資質を高め、会社として経済力をつけなければ偽善になってしまう」。この経験が、自社経営と地域貢献を両立させる強い信念へと昇華していきました。

 

この「江南の地に住む人々に笑顔になってもらいたい」という純粋な想いは、江南市の秋の風物詩である「江南市民花火大会」の運営支援にも色濃く結実しています。初期のころからボランティアとして深く関わってきた福田氏は、行政手続きや警察との交渉、膨大な「雑踏警備計画書」の作成といった、誰もが敬遠する最も煩雑で責任の重い事務・安全管理業務を一手に引き受けてきました。

 

特に近年、大規模イベントにおける警備計画は警察庁の厳格なマニュアルに基づき、数百ページに及ぶ緻密な書類と完璧な安全対策が要求されます。現場の施工管理で培った緻密な書類作成能力と行政交渉のノウハウを持つ福田氏は、毎年の夏休みを潰して夜通し計画書をブラッシュアップ。「一度中止してしまえば、警備や許可のハードルが上がり二度と再開できなくなる。市民の笑顔が集まるこの伝統を絶対に絶やしてはならない」という強い使命感で、警察から「ここまで完成度の高い計画書は他にない」と絶賛されるほどの計画を作り上げ、当時100名を超える警察官動員を引き出すなど、大会の安全開催を裏から力強く支え続けています。

 

また現在、福田氏は江南市水道工事店協同組合の理事長も務めており、自社のみならず地域の水道事業者全体の技術向上や、安全なライフライン供給体制の維持・発展にも尽力しています。

■「無理な拡大より全員の幸せを」——自社直営と地域密着の施工体制

 

現在、株式会社ジェーケー・サービスには16名の社員が在籍していますが、離職率が極めて高いと言われる建設業界にあって「一度入社した社員がほとんど辞めない」という驚異的な定着率を誇っています。

 

福田氏は社員に対し、「変化の激しい時代に現状維持バイアスで立ち止まるな」と自発的な成長を促す一方、売上至上主義の無理なノルマは一切課しません。「猛暑の夏も極寒の冬も外で汗を流す現場仕事だからこそ、どうせやるなら仲間と楽しくやろう」をモットーに、社長自らが現場を巡回しては「大丈夫か?困ってることはないか?」と社員一人ひとりの変化や家庭の悩みにまで優しく気を配っています。

 

同社が誇る最大のアドバンテージは、給排水衛生設備工事から空調、土木、建築までを自社の職人・技術者で一括対応できる「ワンストップの自社直営体制」です。一般的な建設業界では下請け業者へ丸投げする形態が多い中、ジェーケー・サービスでは設計から施工、メンテナンスまでをすべて自社社員が責任を持って完遂します。現場近隣への丁寧な挨拶や配慮を徹底しているため、道路掘削や配管工事の最中にも近所の住民から「暑い中ご苦労様」とお茶の差し入れや温かい言葉をかけてもらえるような、心通う現場づくりが地域に根付いています。

 

さらに、業務の更なる地域還元と生活支援を目指し、2026年9月には福田氏の妹である加藤由紀子氏(管理者・主任ケアマネジャー)を責任者として迎え、社内に「居宅介護支援事業部(ケアプランセンターふく)」を新設しました。介護保険の枠組みだけではカバーしきれない地域の高齢者やご家族の困りごとに寄り添う自費サービスの展開など、建設インフラだけに留まらない「地域の暮らしをトータルで支える総合福祉・設備企業」としての新たな挑戦もスタートさせました。

■10年後も、関わるすべての人が笑顔でいられる会社へ

 

地元の先輩経営者から「まずは100億企業を目指してコンサルタントを入れろ」といったアドバイスを受けることもあります。しかし、福田氏の経営への答えは明確でブレることがありません。

 

「売上規模だけを追い求めて急拡大すれば、必ずどこかで現場に無理が生じ、社員が疲弊して笑顔が消えてしまう。僕が目指すのは、10年後も会社に関わる全員が幸せでいられる経営です。社員がちゃんとした給与を受け取り、マイホームを建て、車を買い、家族と笑顔で暮らせること。そして、自分たちの仕事に誇りを持ち、地域の人々を幸せにできていること。それ以上に大切な経営の正解はありません」

これから起業・独立を目指す人たちへのアドバイス

 

これから新しい世界へ飛び出し、起業や独立を目指す若い世代や挑戦者に向けて、激動の時代を乗り越えてきた福田氏は熱いエールを送ります。

 

「新しい一歩を踏み出す時は誰だって不安ですし、大変なことばかりです。でも、起業するということは『世界が変わる』ということであり、本来は苦しいものではなく『楽しみが増える』ということです。所属していた場所を出て経営者になれば、自分の得意分野やスキルを生かして、直接誰かを幸せにできる素晴らしい可能性が広がります。

 

ただし、一人だけで生き残れる人間はいません。起業する上で何より大切なのは、損得感情抜きで共に歩んでいける『信頼できる仲間や横の繋がり』を日頃から作っておくこと。そして、どんなに大変な時でも自分自身が仕事を『楽しく』やることです。楽をするのではなく、楽しんで汗を流すこと。自分が楽しく輝いていなければ、周りの人を笑顔にすることなんて絶対にできませんから」

 

20代での壮絶な倒産危機と1億7800万円の負債を笑顔と気概で乗り越え、泥臭い現場主義と緻密な経営戦略で江南市を支え続けている福田直樹氏。人間の「心」と「笑顔」を何よりも尊重するその経営美学は、これからも江南の街と人々の暮らしを足元から温かく照らし続けていきます。

 

企業情報

 

・会社名:株式会社ジェーケー・サービス

・設立:昭和53年4月1日(創業:昭和46年)

・所在地:〒483-8407 愛知県江南市古知野町熱田20番地

・電話番号:0587-54-0500

・FAX:0587-59-7182

・代表者:代表取締役 福田 直樹(江南市水道工事店協同組合 理事長)

・資本金:2,000万円

・建設業許可:

 愛知県知事 許可(特-8)第127号(土木一式工事、水道施設工事)

 愛知県知事 許可(般-8)第127号(管工事、さく井工事)

 指定工事店:江南市・岩倉市・小牧市・大口町・扶桑町 指定給排水・排水工事事業者 /

 丹羽広域事務組合 指定給水工事事業者

・業務内容:

 給排水衛生設備・空調設備工事:新築・改修における各種配管、衛生設備、空調システムの設計施工

 水道施設工事:大口径水道管の布設・不断水分岐工事(実績700mm)、導水管・配水管・給水装置工事

 下水道・浄化槽工事:下水道接続工事、大規模施設・住宅の浄化槽設備工事の設計施工

 土木・舗装工事:道路掘削、土木一式工事、コンクリート工事、舗装工事

 建築・住宅改修工事:工場の設備改修、老朽化マンションの配管改善、住宅のリフォーム

 居宅介護支援事業:ケアプランセンターふく(管理者・主任ケアマネジャー:加藤 由紀子 /

 ケアプラン作成、要介護認定申請代行、在宅介護・自費サービス相談)

・特長:大口径から一般家庭まで「管」に関するあらゆるニーズにワンストップで対応する高い技術力と自社直営体制

編集後記

 

「逃げるのはいつでもできる。でも今逃げたら絶対後悔する」——20代半ばという若さで1億7800万円もの包括保証を背負い、倒産寸前だった会社を見事優良企業へと再生させた福田氏の軌跡は、まさに「覚悟と情熱」のドラマでした。

 

地元の先輩経営者から「100億企業を目指せ」と背中を押されても、目先の規模拡大ではなく「目の前の社員や住民の笑顔」を愚直に選ぶ姿勢。HPにある「ロジカルでないお取引はお断り」という文面も、裏を返せば理不尽な業界の構造から社員を守り抜くという強い優しさと覚悟のあらわれです。一見すると豪快で頼もしい現場の親分肌でありながら、その内面は驚くほど繊細で情に厚く、社員や地域住民の「心」を誰よりも大切にされています。

 

過酷な現場仕事だからこそ「どうせやるなら楽しくやろう」と労働環境をガラリと変え、地域の花火大会のためには膨大な警備計画書を夜通し作成する。これから起業する人へ向けた「大変ではなく楽しみが増える」「楽しくやらないと人は動かせない」という言葉には、修羅場を潜り抜けてきた本物のリーダーの重みが宿っていました。

 

江南市古知野町に深く根を張り、水道・建設インフラの整備から介護支援事業まで、街の笑顔と安心を創り続ける株式会社ジェーケー・サービス。福田氏が情熱を込めて耕してきた「信頼と優しさの土壌」からは、これからもたくさんの笑顔と地域の未来が咲き誇っていくに違いありません。

 

取材:まいぷれ江南 編集長:尾花英隆

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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